日時: 2019年9月 15日(日) 13:30-14:30
会場:講堂
統合的思考による複雑さの包含を混合研究法において試みる (Embracing
Complexity through Integrative Thinking in Mixed Methods Research)
シェリル ポッシュ(Cheryl Poth), PhD
国際混合研究法学会前会長(Past President of MMIRA)
アルバータ大学教授(Professor, University of Alberta, Canada)
我々の実践する混合研究法において複雑な状況への認識が増すと共に、複雑さを含んだ統合的思考を用いるための実践的指導が求められるようになった。これは、伝統的な(例えば確立された)実践方法が上手く機能することもあれば、より複雑さが増した状況においては、上手くいかずに再考が必要となる場合があるからである。複雑さを含んだ統合的思考は、研究者に新たな可能性を発見させてくれる。そして、混合研究法の実践に変革をもたらし、複雑さに対する感受性を高めてくれるのである。このような変革の理論的基礎にあるものは、複雑性科学の原理である。したがって本講演では、複雑さの増す状況下で起こる実践上のジレンマのいくつかを解説する。複雑さを構成する4つの原理がいかに混合研究法研究者としての私の研究活動を導いているかを述べ、より複雑な状況を巧みに扱うために指針としての実践的指導の6つのポイントを挙げる。最後に、混合研究法の未来を見据えるために、今後の予測と発展に言及する。それは、複雑さを含んだ統合的思考を用いることで複雑さを包含させるというものである。 ※同時通訳あり。
【略歴】シェリル・ポッシュ教授(Ph.D.)アルバータ大学(カナダ・アルバータ州エドモントン)教育心理学部の、研究・応用測定・評価センターの教員であり教授。研究デザインおよび混合研究法に関する大学院科目の開発に携わり、担当教員でもある。ポッシュ氏は、同大学医科歯科の教員としても兼務しており、複数の学際的研究チームに方法論専門家として携わっている。ポッシュ氏は、教育および健康科学分野において、特に混合研究法の推進、教育の質向上、および共同研究チームに関心を寄せている。International Institute of Qualitative Methodologyの諮問理事であり、Mixed Methods International Research Association (MMIRA)の4代目会長を務めた。Journal of Mixed Methods Research(SAGE)の共同編集者、International Journal of Qualitative Methodology (SAGE)の編集委員、Canadian Journals of Program Evaluation (Canadian Evaluation Society) の編集委員も歴任した。Qualitative Inquiry & Research Design, 4th Edition (2017, SAGE) をJohn Creswell氏と共同執筆し、2017年にはSAGE出版より、著者コーナーストーン賞を、2018年には、Textbook & Academic Authors Association より、McGuffey Longevity 賞を受賞した。これまで蓄積してきた複雑性に関わる研究および考察は、近著のInnovation in Mixed Methods Research: Guiding Practices for Integrative Thinking with Complexity(2018, SAGE)に収められている。現在次の混合研究法関連書籍を執筆中である。
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