基調講演 2 (Plenary 2)
日時: 2019年9月15日 (日) 14:30-15:30
会場:講堂

科学と人文学の溝に橋を架けるホリスティックな研究法
(Holistic Methods of Inquiry: Bridging the Science-Humanities Divide)

http://www.jsmmr.org/Davis.jpg?attredirects=0
 クリスティンS. デイヴィス (Christine S. Davis) PhD
ノースカロライナ大学シャーロット校教授
(Professor, University of North Carolina at Charlotte)

私たちが世界を理解しようとする時、今日ほど、知るための手法が重大で、重要で、必要とされている時代はありません。この講演で私は、研究者を黙想法的・ナラティブ・アートベース・文化的・社会学的、あるいは対話的な思考法へと動かす、ホリスティック(全的)な研究アプローチを理論化して示したいと思います。

 講演では、健康人文科学(Health Humanities)の分野をモデルとして、ホリスティックで統合的な理解が、「生物医学還元主義」と比べていかに「身体性をもった人間であるということは何か」という問いへの深い理解と批判的探求を可能にするかについて考察します。ホリスティックな方法は、人文学と科学の間の溝に橋を架け、苦しみや癒し、幸福、繁栄など人間の経験を理解するための人文学的な視点をもたらしてくれます。つまり、ホリスティックな思考法は、研究者の観察・共感・コミュニケーション・文化理解・慈悲・感受性・創造性などのスキルを強め、それによって研究者は医学・健康科学の人文学的側面を理解することができます。

 そして、どのようにすれば、研究者がよりホリスティックな考え方を研究に取り入れることができるか。ABかの二元法から抜け出して、よりホリスティック探求方法を擁することができるか。死・愛・苦しみ・公正などの大きな問題に取り組むことができるか。そして、どのようにすれば、現象学的理解に対話・公正・想像力などを取り込む研究者になれるか。このような点についてお話しします。

同時通訳あり


【略歴】クリスティン・S・デイヴィス氏(Ph.D.は、現在ノースカロライナ大学シャーロット校コミュニケーション学部教授。健康人文科学研究者、エスノグラファー、そして詩人。コミュニケーションと文化と健康が交差するエリアを研究対象としている。デイヴィス氏は、子どもの健康、終末期コミュニケーション、障がい、そして質的研究法などのテーマについて、継続的に成果を公表して来た。これまでに50以上の学術書、ジャーナル論文、書籍の章などを発行し、多くの賞を受賞されている。特に、病気を抱えていたり治る見込みのない病状を抱えていたりする人を対象に、アイデンティティや語りの修正、「健康である」と「健康でない」・生と死・パワーと周縁の境目のリミナル空間のネゴシエーションなどを研究されている。また、教育においては、健康人文科学、終末期コミュニケーション、ヘルスケア・ナラティブ、リサーチ方法論などを大学院生および学部生に教えている。著書(単著・共著)は、上記英文参照。


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