2022年10月15日(土) 14:30-16:00 (日本時間)
混合型研究の実施と評価 ~Hirose & Creswell (2022)の6 つの規準を落とし込む~
企画・登壇者:
成田 慶一(京都大学)
八田 太一(静岡社会健康医学大学院大学)
廣瀬 眞理子(関西学院大学)
【使用言語】日本語
混合研究法(Mixed Methods Research)は、量的アプローチと質的アプローチを統合させる第三の研究方法論として登場し、健康科学や社会科学の研究課題を中心に用いられている。統合を実現させるということは、その研究において量的アプローチと質的アプローチが持つお互いの強みを生かし弱みを相殺することに他ならない。混合研究法の概念は、その質評価にもつながる。Hirose & Creswell (2022)は混合型研究の質を評価するための6つの規準として、混合研究法を用いる合理性、量・質・混合のリサーチクエスチョン、量と質に分けられたデータ、混合研究法のデザインとダイアグラム、ジョイントディスプレイでの統合、メタ推論を挙げている。これらの規準は、出版済みの研究を評価する際に用いるだけでなく、混合型研究を計画し実践する際にも参照されるべきものである。しかしながら、混合研究法に馴染みのない研究者や実践家にとって、一つ一つの規準を理解することは容易ではなく、混合研究法の学習者であっても、自分の理解を言語化することは容易ではないだろう。
本企画では、参加者から混合研究法に関する質問や意見を受け、それらに基づいた方法論的議論を展開し、6つの規準の意味やつながりを検討する場としたい。
- Hirose, M., & Creswell, J.W., (2022) Applying Core Quality Criteria of Mixed Methods
Research to an Empirical Study. Journal of Mixed Methods Research, online first.
成田 慶一
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京都大学大学院医学研究科 客員研究員、日本混合研究法学会理事(2015~)、Methods in Psychology編集委員(2021.12~)。八田氏と共にMORE-ICプロジェクトを2008年に立ち上げ、現在に至るまでMulti-
Methods、Mixed Methodsを用いた臨床研究・観察研究・研究支援に複数従事。
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八田 太一
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静岡社会健康医学大学院大学 講師(混合研究法・生命倫理)、日本混合研究法学会理事(2015~)、国際混合研究法学会理事(2019.8~2022.7)。混合研究法を用いたインフォームド・コンセント観察研究にて、2019年医学博士号取得(京都大学)。同研究は Journal of Mixed Methods Research に収載され、2022 MMIRA Dissertation Award(特別賞)に選出された。
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廣瀬 眞理子
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関西学院大学非常勤講師、文学部心理科学実践センター相談員。関西学院大学大学院博士課程修了、博士(心理学)。公認心理師。青年期の発達障害者の家族のためのポジティブ行動支援を核としたコミュニティ支援を実践。質的ならびに混合研究法に関しては、訳書に『質的研究をはじめるための30の基礎スキルーおさえておきたい実践の手引き』(新曜社, 2022)、共著書に 『T E Aにおける対人援助プロセスの分岐と記述』(誠信書房, 2022)、『なるほど!心理学面接法』(北大路書房, 2019)などがある。
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